東京都交通局 K-D274

事業者・所属: 東京都交通局 南千住営業所
自動車登録番号(・社番/局番): 足立22か5392 (K-D274)
型式: 三菱ふそう+MBM エアロスターMBECS-III (KL-MP737K)
年式: 1997年(平成9)年
撮影地点: 南千住車庫前
撮影年月: 2010(平成22)年11月27日

三菱ふそうがかつて製造していた蓄圧式ハイブリッド機構搭載車両です.蓄圧式ハイブリッド機構とは減速時の運動エネルギーを油圧として蓄え,発進時の補助として利用する方式です.細かな機構は不明ですが,今日の一般的なパラレル式電気ハイブリッド車に於ける電気モーターと同様の機能を,油圧モーターが提供していたといったところと推測されます(参考: http://www.jsae.or.jp/autotech/data/2-14.html).

現在は電池技術が飛躍的に発達した為,バスに限らず凡そハイブリッド車と呼ばれる車両の多くが,電気エネルギーを媒介とすることで減速時のエネルギー回収及び発進時の再利用を行っていますが,1990年代は未だそういった技術が発展途上であったこともあり,機構が簡単でエネルギーの損耗も少なかった蓄圧式ハイブリッド車は,国内の主要バスメーカーのうち日野を除く3社で生産されました.しかし機構を小型化できなかったことで,同時期に高まっていた低床化への要請に応えられなかったことがネックとなり,21世紀を待たずして全てのメーカーが生産・開発から撤退することとなりました.

東京都交通局ではZ代(1993年式)以降,改造扱いとなった初代MBECS及び,型式を取得(MP237/637)したMBECS-IIも導入しており,これと並行してCHASSE(いすゞ)やERIP(日産ディーゼル)といった他メーカーの蓄圧式ハイブリッド車も積極的に導入しましたが,ERIPはC代(1996年式),CHASSE及びMBECSは写真にあるD代(1997年式)での導入が最後となりました.

その後経年劣化から故障が頻発したため機構を停止したとの話もあり,東京都が排出ガスの問題から,都営バスでの除籍車両を中古流通させない方針を採ったことも相まって,大半の車両はそのまま廃車となりました.今日まで残る車両はいわさきバスネットワークで中古導入されたMBECS-IIなどごく僅かとなっています.因みに,他の事業者からの中古を見ると,MBECS-IIIについては,江ノ電バス及び横浜市交通局で使用されていた車両が,同じいわさきバスネットワークにて中古導入されているようです.また北海道の道南バスでも,関東バスで使われていたリーフサスのMBECS-IIIが中古導入されています.

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